CancerWith Blog

オンラインがん相談サービス CancerWith

がん治療・生活の不安を専門家(看護師、社労士、キャリアカウンセラー)に相談できます。

がん患者の悩みに程度の差はない ——キャンサーペアレンツ理事 高橋智子 × CancerWith 二宮みさき 対談

オンラインがん相談サービス、CancerWithは患者会やオンラインコミュニティに招待コードの優先提供を開始しました。患者同士の「ピアサポート」ではまかないきれない悩みを、専門家(看護師・社労士など)の力で解決をお手伝いします。

第一弾として、CancerWithと一般社団法人キャンサーペアレンツ様との取り組みを発表いたしました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000077111.html

今回は、その取り組みに関連して実施された、キャンサーペアレンツ理事の高橋智子さんと、CancerWith運営の二宮みさきによるオンライン対談の模様をお届けします。

キャンサーペアレンツ 2016年4月に運営を開始した子どもを持つがん患者のためのコミュニティ。会員数4,000名を超えるオンラインコミュニティサイト(2021年5月現在)。創設者は西口洋平さん。2020年5月に西口さんが旅立って以降、代表は置かずに理事4名を中心に運営されている。
キャンサーペアレンツ - こどもをもつがん患者でつながろう

キャンサーペアレンツ理事の高橋智子さんと、CancerWith運営の二宮みさきによるオンライン対談

つながりは、生きる力になる。キャンサーペアレンツの原動力

高橋智子(以下、高橋)キャンサーペアレンツはこどもを持つがん患者のためのオンラインコミュニティです。「つながりは、生きる力になる。」をコンセプトに登録すると日記を書き残したり、同じ境遇の方(キャンサーペアレンツ会員)とつながることができます。想いや考えは人それぞれ、相手の状況を受けとめながら、「私の場合は」というスタンスのもと、日々さまざまなご投稿をいただいています。

高橋智子さん
高橋智子
一般社団法人キャンサーペアレンツ理事。エン・ジャパン株式会社 大阪支社に勤務していた頃、西口さんと知り合い、その後キャンサーペアレンツの活動に携わる。現在愛媛県在住。

二宮みさき(以下、二宮)私たちがオンラインがん相談サービスCancerWithを始める以前からキャンサーペアレンツのWebサイトやフライヤー、ロゴなどのデザインのお手伝いをしています。たしかにキャンサーペアレンツのコミュニティは共感し合い、支え合う方が多く、応援するための仕組みもありますよね。私自身も含め、がん患者の方は、涙もろくなったり、絶望感を抱いたり、感情的になったりする人も多いと思います。治療を進めながら精神的なケアをすることは容易ではなく、慢性化することも多いですよね。

二宮みさき
二宮みさき
CancerWithを運営する株式会社ZINEのディレクター。2015年、28歳で乳がんに罹患。ライフワークとして闘病ブログの執筆、メディアへの出演、キャンサーペアレンツのWebサイトなどのデザインにも協力。株式会社はてなでプランナーも兼務。
オンラインがん相談サービスCancerWith

高橋もともと私どものコミュニティのはじまりは2015年頃にさかのぼります。キャンサーペアレンツ代表だった西口さんが、35歳でステージⅣの告知を受けたとき、こども・仕事などの様々な不安を感じ、立ち上げました。その頃西口さんには娘さん(当時6歳)がおり、家族を抱えるなか自分の悩みを気軽に相談できるところが見つからなかった、というのが立ち上げの原動力です。

つながる場所がないなら患者同士のサポート(ピアサポート)の場を作ろうと思いつき、キャンサーペアレンツを立ち上げました。

西口さんは仕事を続けながら活動を精力的に行っていました。2020年5月に西口さんが旅立って以降は、代表を置かず会員の方々と一緒に活動を続けています。

キャンサーペアレンツの運営メンバー

コミュニティは、会員が会員の思いを聞く場所

二宮立ち上げや活動に強い思いを持った西口さんが旅立たれてからは、どのような思いと体制でコミュニティを継続しているのですか?

高橋キャンサーペアレンツでは、亡くなることを「あっち支部に行く」と表現するのですが、2020年5月、西口さんがあっち支部に行ってからは会をどのように存続していけばいいのか、正直悩みました。「キャンサーペアレンツ=西口さん」というイメージが強く、同じメッセージをほかの誰かが発信しても、会員の方や社会への響き方は違ってくると考えていました。誰のためのキャンサーペアレンツなのか。改めて原点を見つめ直し、コミュニティのあり方に向き合い続けました。

コロナ禍でなかなかオフラインの交流会も開けない中、今できることを1つ1つ取り組んでいこうと、オンライン交流会を定期的に開催するようになりました。

これからは会員のみなさんと一緒に作り上げる場だと考えているからです。オンライン交流会も会員の方が手を挙げてくださり開催が決まったんです。

二宮キャンサーペアレンツは専門家からアドバイスを受けるCancerWithと違い、ピアサポートで運営されています。私自身は28歳のがん罹患時、京都で治療を受けながらどうしても気が進まず患者会には参加しなかった経験があるのですが、どういう点にピアサポートの強みがあるのでしょうか。

高橋ピアサポートだからお互いに伝え、共有し合える「がんばれ」があるのではないでしょうか。オンラインのコミュニティだからこそかもしれませんが、キャンサーペアレンツは「応援します」ボタンが個人のページにあります。がん患者ではない人から、「がんばれ」と言われると重荷に感じてしまうこともあるかもしれません。同じ病気、同じ境遇を抱える方から「応援します」ボタンをそっと押されるからこそ、本当の励みになるのだと思います。

二宮立ち場が同じだからこそ、たとえば反対意見をもらっても批判としてではなく、意見として受け取りやすい雰囲気に繋がっているのだと思います。逆にピアサポートのコミュニティの難しい点はありますか?

高橋同調しやすい状況が生まれやすいことが挙げられるかもしれません。同じ境遇でつながっているからこそ、「あっち側」と「こっち側」のように区別(がんに罹患しているか、そうでないか)が生じる場面もあると伺うことがあります。

二宮CancerWithを運営する私たち株式会社ZINEでは、誰もががんに罹患する可能性を持つ社会でがん患者が孤立を深めていくのではなく、がん患者でも自分らしい生活ができることを目指しています。私自身、フルタイムで働き、結婚生活を送り、自分の意思で人生を歩めていることを伝えていければと思っています。私は、罹患直後、病気でない人と比べて自分は不幸だと思うこともありましたし、より深刻な病状の方を見て心が落ち着かないこともありました。がん患者にも様々な方がいて、それぞれ異なる悩みを持つことが社会的にまだまだ浸透していないからこそ、軋轢を生みやすい状況なのかなと思います。今後は、CancerWithの運営や発信を通じ、課題を少しでも多く解消していきたいです。

CancerWithを相談の第一歩に

高橋ピアサポートがすべての悩みや不安を解決できるわけではありません。治療のことはもちろん、経済的支援、子育て支援のことなど、専門家ではないため、どうしても専門的な領域や踏み込んだ相談はしにくい現状があります。がん相談支援センターをそもそも知らない方も多いのが現状であり、誰にどこで相談していいかわからない方が数多くいらっしゃいます。

たとえば、がん罹患者の障害年金。存在自体を知らない方も多いですし、受給も手続きが煩雑です。書類をまとめて提出しても何度も確認が入り、なかなか前に進まないこともあるようです。

ほかにも、職場へのがん罹患の伝え方などはケースバイケースです。会社の規模や上司との関係にもよります。専門家に状況を聞いて頂き、ケースバイケースに対応して頂いたり、ベストプラクティスのようなものがある話題は専門家からの情報が必要になることもあると思います。

二宮キャンサーペアレンツには検索やクチコミでたどり着けても、がん相談支援センターは知らなかったりするんですね。がん患者が利用できる制度なども病状や職業、地域などにより異なりますし、その方の状況に応じて適切なアドバイスができないことが多いですよね。

高橋キャンサーペアレンツをはじめとするがん患者同士のコミュニティや患者会自体が抱える同様の悩みを、オンラインがん相談サービスCancerWithが、その解決につながる場の1つとして、相談に乗っていただけたらと思います。

CancerWithとキャンサーペアレンツ、向いている方向は同じですよね。「こんなこと相談していいのかな?」と思われている方に「こんなこと」なんて程度の差はないことを伝えていきたいです。何が不安かわからないことでも、何でも相談していいと思ってもらえれば、と思います。CancerWithは相談していいんだよ、という第一歩につながっていくと思っています。

編集後記:
相談できることのハードルを下げたい、という思いはCancerWithも共通しています。今後もキャンサーペアレンツを始めとする様々な方々と一緒に、がん患者の方のより良い生活の実現に向けた取り組みを行っていきたいと思います。

がん患者会やオンラインコミュニティへの招待コード優先提供について

オンラインがん相談サービス「CancerWith」で、患者会やオンラインコミュニティに招待コードの優先提供を開始いたします。患者同士の「ピアサポート」ではまかないきれない悩みを、専門家(看護師・社労士など)の力で解決をお手伝いします。

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